12 May 2013

イニッシュオーエンの春便り(第二章)

ハリエニシダ(Gorse)の季節です。

こちらイニッシュオーエンでは、気持ちよい朝が訪れるようになり本格的な春を 迎えようとしています。私の好きなハリエニシダの花の香りが漂う季節となりました。 ハリエニシダをゴース(Gorse)と呼びますが、地元ではウィンズ(Whins)や ファーズ(Furze)とも呼ばれています。寒い日が多いアイルランドでは、今が 一年で一番花が咲きほこる季節であります。低潅木で群生し黄色い花を咲かす ハリエニシダは、何とココナッツに似た甘い香りを辺り一面に振りまいてくれ るのです。枝や葉に鋭い刺があって人を寄せ付けない印象を与える花ですが、 この芳しいアロマに酔いしれてしまいそうになります。緑の床に辺り一面に 咲き乱れる黄色の絨毯は、田舎の風景を春色に染めてくれます。この季節の 美しい風景のひとコマです。
ハリエニシダは、ただ美しいだけの花ではないのです。古くから薬用に使われていた と言い伝えられています。『手のひら一杯のハリエニシダの黄色い花を沸騰したお 湯で煮ます。煮汁を馬に飲ませてやると、寄生虫駆除に効く。』との事です。 (出典:http://www.wildflowersofireland.net/plant_detail.php?id_flower=109)

有名な同種療法学者(人体の自然治癒力を引き出すことを目的にした治療分野の一種) E.バッハ博士は、ハリエニシダが情緒不安の治療に効くことを確認しています。ハーブ 治療として使われる際にハリエニシダは、人の考えを前向きに作用させる効能があるとされています。
(出典: http//www.bachcentre.com/centre/38/gorse.htm)

アイルランド神話では、毎年5月の初めに行われるケルトのお祭りであるインボルク
(聖ブリジットの日)やベアルテイン(春のお祭り)にハリエニシダが祭事用の松明や花輪に
使われていたとの事です。
(出典: http://ohnthegorse.blogspot.ie/p/crafts-and-fuel.html)

           ハリエニシダは、見た目以上に立派なんですよ。

           うららかな春を感じませんか?

ハリエニシダは、見た目以上に立派な花です。たくさんの害虫が存在するにもかかわらず、 それは、我々の文化遺産であり、その利用価値において先祖代々とても重宝されてきました。 まるで日本の桜のような存在で、我々にとって多分にハリエニシダを愛でる季節であり、 春の訪れを感じさせてくれる存在なのだと思われます。


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